飲食店におけるカニバリゼーション

皆さん、こんにちは。

池袋の開業税理士、竹田健司です。

マーケティングの仕事をしていると、

「カニバリ」

というフレーズを耳にします。

カニバリゼーションの略語ですが

完全に専門用語です。

 

カニバリゼーションとは

主に商品、サービス、ブランドなどが

自社同士で競合し、

シェアを侵食しあう状態のことで、

「共食い」

のことを指します。

これは生物界における

共食いからそのままきている言葉です。

 

有名なカニバリゼーション

ビール業界の発泡酒、

これは有名なカニバリゼーションの例です。

発泡酒の一番のメリットは価格の安さ。

それは発泡酒だと税金が低くなるため、

そのような価格設定が可能になります。

ビールメーカーの各社は、

相次いでそれを市場に持ち込み、

瞬く間に大ヒット商品となりました。

しかし、各社の売上は伸び悩みました。

理由は既存商品のビールが

発泡酒の台頭によって売れなくなったためです。

晩酌はビールから発泡酒に切り替わり、

特別なときだけビールを飲む、

そんな家庭が一気に増えました。

結局、発泡酒市場は、既存のビール市場を

食いました。

自社同士、他社同士が入り乱れた

共食い状態となり、

大きなカニバリゼーションとなりました。

 

多店舗展開のカニバリゼーション

飲食店の一号店による出店で成功した場合、

当然多店舗展開による増収増益を

目指すことになります。

その際に重要となるのが二号店の場所です。

場所は一号店により近い方が

シナジーが期待されます。

その理由として、

・食材や機材などの経営資源の流用

・商圏のクセがわかっている

・既存のブランド力が生かせる etc.

が挙げられます。

これらは多店舗展開する上で、

非常に大きなメリットとなりますが、

そこで気をつけるべきことが

カニバリゼーションなのです。

一号店と二号店が近すぎると、

お互いで顧客を取り合う結果となり、

共食いしてしまうのです。

すなわち、

遠すぎるとシナジーが享受できず、

近すぎても共食いし合う、

そのような結果になってしまうのです。

そのため二号店以降の出店は

バランスが非常に重要となります。

ただでさえ飲食店の出店には

最近の注意を払い、

一年以上かけて探すことが必要ですが、

 

飲食店の物件探しは1年以上かけましょう

 

それに加えて、

そのようなバランスも考慮しなければ

なりません。

「利益が出てるから、

この辺に二号店でも出そうかな。」

では失敗してしまう可能性が高いですので、

長期的な計画で、

注意深く物件を探す必要があります。

 

自店舗内でのカニバリゼーション

飲食店には、

本店の一店舗のみで営業されている

お店がほとんどです。

そのようなお店で

カニバリゼーションが

関係ないかと言えば、

全くそんなことはありません。

よくあるのは、

ランチとディナーの関係です。

ランチ営業を始めたら、

逆に利益が下がってしまった、

そんな店舗が多いのが実情です。

飲食店というものは、

基本的にお店の賃料がとても高いです。

そう考えると、ディナーメインのお店でも、

お昼にお店を空けて

おくだけではもったいなく、

営業したいと思うのが普通です。

業種や立地にもよりますが、

一般的にはランチの金額設定は

低めにされます。

そうしないと集客できないためです。

しかし、それが仇になる場合が多いです。

特に、ディナーメニューと同じ路線で

ランチメニューが構成されてしまうと、

「安いから行くのはランチだけ。」

という状態に陥ります。

ランチに顧客が流れ、

メインのディナーの売上を食ってしまう、

自分で共食いをしてしまう。

そのようにして

自社内でのカニバリゼーションが

起こるのです。

「ランチの時間に何もしないのは、

賃料がもったいない。」

と考えるのはわかりますが、

当然その時間帯を営業するということは、

コストがかかります。

そして利益率の低いランチに顧客が

流れてしまうと、

お店全体の利益を押し下げてしまう、

本末転倒な結果になってしまうのです。

そのため、ランチのメニュー構成や

金額設定は最新の注意を払う必要があります。

 

まとめ

カニバリゼーションについては、

本日紹介したビール市場のような、

非常に大きな市場内で起こることもあれば、

自社同士、あるいは自社内といった、

狭い市場内でも起こり得る問題です。

新たな商品の開発、

多店舗展開、

ランチ営業といった、

新たな挑戦をする場合には、

綿密な計画で、

数多くのシミュレーションをすることが、

カニバリゼーションを防ぐことに繋がります。

どの飲食店にも起こり得る問題なので、

新たな挑戦をする際には、

注意して頂けたら幸いです。

take(テイク)会計事務所 竹田健司税理士事務所 代表税理士・MBA 竹田健司 さいたま市職員時代に税理士試験に合格し、 税理士となった異色の経歴。 また、勤務税理士時代に、ビジネススクールに通い、 首席で卒業。 そのMBAの取得をきっかけに 東京都豊島区池袋にて税理士事務所を開業。 ビジネススクールにて 一番の研究テーマであった飲食店のマーケティングにより、 コストをかけないで儲かる仕組みづくりを飲食店に提供。 それにより、開業より順調に顧問先を増やしている。