その決算賞与大丈夫? 決算賞与の支給について

「今年はみんな頑張ってくれたし、

会社の利益も出ているから決算賞与を出そう」

これは中小企業ではよくある話です。

 

決算が331日だったとして、

331日までに決算賞与を支給(実際に払う)した場合は、

当然経費として損金算入できますが、

3月に決断して、支給するのは4

というパターンが多いのではないでしょうか。

その場合は注意が必要!

それを3月の経費にしている場合は

正しいルールに則っていないと

税務調査で指摘される可能性はかなり高いです。

 

3月中に経費計上し、未払金としている場合、

下記の要件を全て満たしている必要があります。

(税法は細かい要件がありますので、簡略化しております)

 

1)その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受ける
  全ての使用人に対して通知をしていること。

2)(1)の通知をした金額を通知した全ての使用人に対し
   その通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から
   1か月以内に支払っていること。

3)その支給額につき(1)の通知をした日の属する事業年度において
   損金経理をしていること。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5350.htm
(法令72の3、法基通9-2-43~44)

 

3)については、損金経理(費用計上)は通常しているので、あまり気にしなくてもいいかと思います。

 

2)については注意が必要です。331日決算であると仮定すると、4月中に決算賞与を支給する必要があります。

  決算時から一カ月以内と覚えておいてください。

 

1)が一番争点になるところです。

税務調査で否認される場合、この(1)を満たしていないパターンがほとんどです。

1)を簡単に説明すると、

 

決算賞与の支給額を決算日(例だと331日)までに、

支給する全社員に対して、

個別にかつ同じ時期に

通知をすること

 

となります。

この通知というのが非常にに厄介

朝礼等で「今年は決算賞与を支給します!」

と言ったところで、

税法上の通知とは認められません。

 

その要件を満たし金算入をするためには色々なパターンはありますが、

よくあるのは

 

3月中に個人別の決算賞与の金額を確定する。

3月中に支給金額を記載した決算賞与通知書(任意書式)を作成

 ※個人別に作成

3月中に決算通知書確認リストを作成

 ※全従業員の認印をもらうため、1枚の紙でもOK。

3月末までに決算賞与通知書を支給する全従業員に渡す(なるべく同じ日)。

3月末までに決算通知書確認リストに全従業員から認印をもらう。

4月中に決算賞与を支給する。

 

というパターンです。

決算日までに金額を確定させ、

通知書によって、支給する従業員には支給額を明示し、

通知をしたことの証明として、従業員から認印をもらう。

ここまで行うのはそれなりの労力を要しますが、

上記にも述べた通り、税務調査での否認されるリスクが高い項目のため、

万全を期しましょう。

 

また注意が必要なのが、

通知した金額を通知した従業員全員に必ず支給しなければなりません。

よって、通知はしたけれども、

通知した日から支給日までの間に辞めてしまった従業員に対して、

支給しない場合、要件を満たさないこととなってしまいます。

 

決算賞与については、どこの会社でもある話ですし、

簡単に考えがちのため、

税理士に相談しないで行ってしまう会社も多いようです。

税理士もあとから言われてもどうしようもない(対策しようがない)ですし、

わりと税理士事務所でも決算処理に紛れてスルーされてしまうことも多いとか。

そのため、税務署も決算賞与を見つけたらラッキーくらいに思っているので、

税務調査時には必ず突っ込まれると考えた方がいいでしょう。

そのため対策は万全に。

 

take(テイク)会計事務所 竹田健司税理士事務所 代表税理士・MBA 竹田健司 さいたま市職員時代に税理士試験に合格し、 税理士となった異色の経歴。 また、勤務税理士時代に、ビジネススクールに通い、 首席で卒業。 そのMBAの取得をきっかけに 東京都豊島区池袋にて税理士事務所を開業。 ビジネススクールにて 一番の研究テーマであった飲食店のマーケティングにより、 コストをかけないで儲かる仕組みづくりを飲食店に提供。 それにより、開業より順調に顧問先を増やしている。