本当に来る飲食店の税務調査 調査のポイント

飲食店に限ったことではありませんが、

税務調査は突然連絡があります。

税理士に頼んでいれば、税理士に、

万が一頼んでない場合はお店に税務署から連絡があり、

ご本人は驚くとともに青ざめる・・・。

 

特に個人事業主の方に多いのですが、

「個人だから調査なんて来ないでしょ」

くらいに言っている方がよくおります。

言わせてもらうと

個人でも普通に税務調査はきます

 

税務調査が来ないと思って、

個人事業主で公私混同をしている方は要注意。

家庭の支出を事業用に混ぜていませんか?

そのような処理は調査時にはしっかりと否認されてしまいます。

修正申告をすることによる追徴課税

本当に事業を左右しかねる事態になりますので、

日頃から正しい処理をするように心がけましょう。

 

ただし、その正しい処理をしたとしても、

税務調査で無傷ですむケースはかなり稀です。

税理士に頼んでいたとしても、

会社の全てを把握できるものではありませんので、

目の届かない範囲は必ずあります。

税務署はそのような箇所をしっかり調査しますので、

そのような重箱の隅も綺麗にしていることが大切です。

 

下記に飲食店における税務調査で重点的に見られるポイントを記載します。

業種によって見られるポイントは異なりますが、

下記についてはほぼ見られると思って間違いないので、

そのつもりで普段から処理をするよう心がけましょう。

 

 

1 売上や仕入の期ズレ

期ズレとは、本来当期で処理すべきものだったものを、

翌期で処理している場合や、

その逆に翌期で処理すべきものだったものを、

当期で処理しているケースです。

期ズレを売上で考えますと、

飲食店の場合売上については原則的に現金商売ですので、

期ズレは生じないと思いがちですが、

盲点になるのがクレジットカードによる売上です。

事例をあげると、

<12月決算の会社>

12月は忘年会シーズン。もちろんクレジットカード決済も多くなります。

その12月中にサービス提供したものは、

お金の入金は翌年の1月または2月になってくるかと思いますが、

売上処理は12月に行う必要があります。

簿記用語で売掛金と言いますが、

この処理を失念しておりますと、100%否認されます。

 

仕入側で考えると、

12月29日に材料代を振り込んだが、

納品は正月あけの1月4日だった場合、

それを12月の仕入にしてしまっている場合には

こちらも期ズレとして否認されてしまいます。

しっかりと在庫計上されていればいいのですが、

期末時である12月31日に在庫として存在しないので、

このようなケースは見落としがちです。

 

 

2 在庫の管理

オペレーションがしっかりと機能していて、

毎月在庫計上をしている飲食店であれば問題ないのですが、

それが疎かになっている飲食店は要注意です。

期末時には確実な在庫計上が必要になります。

税務的な在庫計上の必要性を事例で説明しますと、

 

①今期は利益が100万円くらい出そう。

➁税金払いたくないから費用増やしたい。

③12月下旬に来年分の仕入を100万円して費用を増やそう。

 

ただし、この①~③の処理を防ぐのが在庫計上です。

④仕入の100万円はまだ未使用なので在庫として資産計上し、

 費用に計上させない。

 

これが在庫計上の税務上の考え方です。

在庫計上の概念がなければ、

いくらでも利益操作が可能になってしまうのです。

よって在庫計上をすることにより、

使用されていない材料についてはその期の費用にならないため、

適正な期間損益計算ができることとなります。

 

在庫計上はそのような税務面からも、経営面からも

必要な処理になります。

面倒な処理ではありますが、難しい処理でもありません。

数えて単価をかけて集計するだけですからね。

ただしそこで一つ注意点があります。

在庫表をエクセル等で管理し、それを原本として保管することは当然ですが、

必ず手書きの在庫表も一緒に保管して下さい。

手書きの在庫表というのは、

在庫表をパソコンで管理しているとしても、

倉庫や棚に直接パソコンを持ち込んで、そこで集計する人は基本的におりません。

必ず、まず手書きで在庫表を作成し、それをエクセル等にまとめることとなります。

その手書きのものを、例えメモのような走り書きでも構わないので保管しましょう。

なぜかというと、そのエクセルの在庫表が、

手書きの在庫表がないことによって信憑性が薄れ、

極端に言うと、適当な数字を入れただけという見方をされる場合があります。

調査官にもよりますが、そのような細かい視点で見てきますので、

必ず手書きの在庫表も保管をしましょう。

 

 

詳細は過去の記事を参考にして下さい。

https://take-tax.com/food-stock/

 

3 売上金の現金管理

現物確認として売上金の管理をどのようにしているかを調査されます。

毎日の現金売上がどのような形で売上として集計されていくか、

できれば毎日銀行に入金してそれを売上集計するのが望ましいですが、

そうでない場合にはどのような形で入金しているか、またその集計方法など

かなり細かく突っ込まれます。

結構やりがちなのが、現金売上からちょっとした消耗品等の

細々したお金を払ってしまい、現金残に整合性がない場合です。

そのような処理は管理上よくありませんので、

小口現金で分けるなどしてしっかりと管理しましょう。

実際のレジの中や、金庫がある場合にはその中まで見られますので、

整合性は必ず合わせるようにしましょう。

 

 

4 人件費の管理

人件費についても細かく調査されます。

人件費については調査するポイントも多く

例えば架空人件費、人件費水増し、源泉徴収、外注との線引きetc.

飲食店の場合、家族に手伝ってもらっている場合が多いので、

その実態も細かく調べられます。

また学生の日雇いのバイトがある場合には源泉徴収の率も変わってくるので、

そのあたりも見られるでしょう。

難しい処理は税理士に任せるとしても、

給与明細、タイムカード、履歴書などの管理はしっかりとしておきましょう。

人件費については、誤った処理をしている場合、

過去に遡って合計されるとかなりの額になってしまうことも多いので

日頃からの注意が必要となります。

 

 

事前調査

嘘みたいな話ですが、

皆さんの知らないところで、

調査官は事前にお客さんとして来店されます。事前調査ですね。

この調査により、立地条件、席数、お客さんの数、回転数などから、

だいたいの一日の売上高を把握します。

それをもとに売上として計上している数字が逸脱していないか

そのようなことまで調べます。

そして当日自分が食べたメニューから、

実際に会計計上されているものの整合性まで確認をします。

 

 

まとめ

税務調査については、いつか必ず来ると思って、

日々の会計処理を行ってください。

「この処理はバレないかな・・・」

のような後ろめたいことをしていると、

気持ちよく仕事はできませんからね。

そして自分で判断できかねるものについては、

小さなことでもいいので税理士に相談し、

適正な処理を普段からするよう心がけましょう。

take(テイク)会計事務所 竹田健司税理士事務所 代表税理士・MBA 竹田健司 さいたま市職員時代に税理士試験に合格し、 税理士となった異色の経歴。 また、勤務税理士時代に、ビジネススクールに通い、 首席で卒業。 そのMBAの取得をきっかけに 東京都豊島区池袋にて税理士事務所を開業。 ビジネススクールにて 一番の研究テーマであった飲食店のマーケティングにより、 コストをかけないで儲かる仕組みづくりを飲食店に提供。 それにより、開業より順調に顧問先を増やしている。